もるげん3分前

もるげんれえてとそのサークル「Horizont」のスペース。宣伝の他に呼んだ本や映画の感想、最近のこととかを書いていきます。pixiv→http://www.pixiv.net/member.php?id=270447、ツイッター→https://twitter.com/morghenrate

When is it time to die?

今年の秋は映画が豊作ですね。
リドリー・スコット最新作の「最後の決闘裁判」。
「メッセージ」「ブレードランナー2049」の監督ドゥニ・ビルヌーブによる「DUNE」
他には「ロン」「MINAMATA」「クーリエ」などなど。
今後はキングスマン最新作もありますし、楽しみですね。
ですが、やはり何よりも今秋注目はダニエル・クレイグ主演、007最新作
「no time to die」
ですね。
 
と、いうわけで見てきたのでその感想です。
ただ、その前に一言だけ。
 
「3時間だからトイレ行っておけ」
 

 

さて、ダニエル・クレイグ版007、何を押してもダニエル・クレイグがセクシーすぎる。
それだけでも見る価値がある。
所作の一々に目が奪われてしまうのよね。
こう、ミドルエイジというか、ダンディーとはまた違う、草臥れたけれど萎びてはいないおっさんというのは、ストレスとかに効くんですよ……
それを、ね。大画面で3時間ぶっ通しでみる。
これだけで満足感満載なんですよ。
あとヒロインのマーガレット役のレア・セドゥ。本当に美しい。
Death Strandingのフラジャイルの時もですが、影のある女性というのがいい味を出します。
一流の役者たちが集まってるから、どのシーンも絵になるんですよ。
 
しかし、それをさておいでも今回のストーリーの出来が素晴らしい。
スペクターで引退した後からのボンド。
マドレーヌと穏やかな日々を過ごすけれど一つの疑惑から道を違えてしまう二人。
5年の時を経て、ボンドはとある任務へと赴くわけなのです。
冒頭しょっぱなから「いや、お前引退したんだろう!?」とボンドカーを乗りこなしたり、歳月を感じさせないアクションにはボンドは引退できないんだなあ、と思っていたりしました。
ただ、彼が「ジェームズ」とボンドを名乗らなかったときは少し悲しかったですが。
 
と、何が言いたいかといえばこの映画、テーマはまさに「Time
前編を通して過去と現在と未来が複雑に絡み合い、そして人はどの時を通して生きていくのかを語りかけてくる映画です。
セリフのいくつかは忘れてしまったのですが、キャラクターたちのセリフにTimeが織り交ぜられてるのは印象的です。
今という時間から外れたはずのボンドは、しかし戻ってきても今には戻れず。
過去を捨て去ったはずのマドレーヌは、思いもしない過去にからめとられ。
一粒種の未来をボンドは知る。
まさに、過去現在未来というときの中で、ボンドにとって死に場所を探すかのような映画と言えましょう。
しかしながら、死に場所などはない。
まだ、死ぬ時ではない。
ではいつなのか。
炎を浴びながら立ち尽くすボンドの背中に、その答えはあったのでしょうか。
うーん、まだまだ考察できそう。流石に3時間は体力を使うし記憶もあやふやになってしまう。
けれども、久々に心の奥底から「ああ、面白い」という映画体験ができました。
今年見た映画の中では名作の一言に尽きます。
 
余談ですが、自分はこの映画を見ていてずっと思っていたことがあります。
 
これ、MGS4やん」って。
 
いや、老いて現役を引退した主人公、今まですべての過去との対峙、最後の任務と主人公自身が最悪の兵器になる。
監督とかは意識していたわけではないと思いますし、MGSシリーズ自体が007から強烈なインスパイアを受けていますし(MGS3とかね)。
とはいっても、なんかこう、ここまでリンクしてくると、なんか感じるものがあります。
物語はパターン化されますが、やはり実はリスペクトがあったり、とか。
あと、監督が変わった影響か、所々クリストファー・ノーランっぽいカット割りが増えた気がします。
特にあの土下座のシーンとか。最後のシーンとか。
意図的に目元に強くカメラが行くような気がします。
 
「No Time To Die」
死ぬべき時ではない。
あるいは、死ぬため時間などない。
どちらで意味を取るべきか。
もう一度、見てみたい映画ですね。