もるげん3分前

もるげんれえてとそのサークル「Horizont」のスペース。宣伝の他に呼んだ本や映画の感想、最近のこととかを書いていきます。pixiv→http://www.pixiv.net/member.php?id=270447、ツイッター→https://twitter.com/morghenrate

火をつけろ 燃え残されたすべてに ARMERED CORE Ⅵ感想

何かがあると、人間は闘争を求める。

そしてアーマードコアの新作が出る。

ネットミームとして有名な構文だが、この構文の味は

アーマードコアの新作が出ないこと」

にあった。

「どうせ出ないんでしょ」

「フロムはソウルライク作るのに忙しいんでしょ」

そんな冷笑とも諦観ともいえる本音を、

けれどもどこか捨てきれない期待を、このネットミームに込めていた。

 

この話には教訓がある。

一度生まれたものは、そう簡単には死なない。

 

10年ぶり、シリーズ最新作。

ファン待望の「アーマードコア」がとうとう出てしまった。

自分も楽しみにしていたファンとして、この日をどれほど待ち望んだか。

 

www.armoredcore.net

 

というわけで、今回は「ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON(以下AC6)」の感想を書いていきます。

 

まず最初に断りだけれど、自分はフロムゲーはほとんど触ってきていない。

唯一、ACVDだけはやったことがある。

ただそれも物語中盤になるかどうかというところで挫折してしまった。

あとは実況動画やネットの記事などで見聞きしたくらいだ。

 

それでも、ACVDは確かに自分の心のどこかに火を点けた。

ロボゲーはスパロボやボダブレをやっていたが、

ACはどこか、「なつかしさ」をおぼえていたと思う。

ただ、それ以上の複雑さで挫折してしまったが。

当時、そもそもコンシューマーゲーム自体に慣れていなかったのも原因だろう。

 

そんな自分でも、AC6の発表は本当に心から喜んだものだ。

外人四コマをやってしまったよ。

それぐらい、気付いたら待ち焦がれていた。

 

社会人になり、時間も金も自由にできるようになって、心からゲームを楽しめる。

コントローラーを握って、私はルビコンへ旅立ったのだ。

経験する成長

ルビコンへ到着し、初めてACを動かした感動を、今でも覚えている。

「ああ、ようやく目覚めた」、と。

ACVDから10年。

あの時も興奮したことをおぼえている。

だが、あの時は重機のような重さを感じていた。

今回はまさに「機動兵器」としての軽快さで迎えられた。

バーニアを吹かしながら、アサルトブースト(AB)で敵へ肉薄し、ライフルとミサイルをぶち込む。

嗚呼、なんと爽快なことか。

そんな快感に浸り、気分はまるでプロの傭兵だ。

「10年がなんだ。俺だって元ミグラントだ」

チュートリアルを軽々とこなして、こりゃあっさりクリアかな、と思っていた。

 

プレイヤーへ忖度しない難易度を売りとするフロムソフトウェア

それはなんとなく知っていたし、覚悟はしていたつもりだった。

まさか、それがチュートリアルでいかんなく発揮されるとは。

 

はい

 

ル ビ コ プ タ ー

 

いやあ、負けイベかと思いましたよ。

「ここまで楽しんだよね?でも、

 

ここはルビコンだ」

 

そう宣言するフロムとルビコプター。

訳も分からずにぼこぼこにされる。

最初に倒された時は思わず笑っちゃいました。

ただ、このルビコプターも序盤の序盤。

ジャガーノートにバルテウス、ルビコニアンデスルンバにルビコニアンデスマツボックリ。

びっくりどっきり強敵メカたちが目白押し。

そう、これはフロムのゲームである。

 

だが、決して困難すぎるわけではない。

ルビコプターにしても、割と初戦で半分くらいは削れたりする。

その他の敵も、特に序盤は明確なメタ的立ち回りがある。

敵をよく見て、己の機体を顧みて、自分の腕を磨き上げる。

そうすることでこれらの敵へ、だんだんと手が届いていく。

ここまでできた!

くそ、あと少しなのに!

つぎはこの攻撃に注意しよう

そういった試行錯誤の末、敵を撃破する喜びは何物にも代えがたい。

最終兵器W重ショットガンWワーム砲(通称誉アセン)もある。

だが、その構成がすべての敵に通用するわけではない。

チャレンジングの苦痛と喜びに満ちた体験を徹底的に与えてくれる。

なんども挑戦し、立ち向かうというゲームの原体験がここにある。

 

それは決してボス戦だけではない。

このゲームは2週目以降の要素がある。

同じミッションを何度もこなすのだが、そのたびに自身の成長を痛感できる。

あんなに大変だったボスが、あっさり倒せてしまったり。

虚しさよりも、自分自身の成長に喜び勇んでしまうのだ。

だが、一部のミッションはちゃんと難しくなっていて、周回の退屈さは全くない(そして再び試行錯誤を繰り返すのだ)。

ロボットをぐりぐり動かせ

この世には絶対的な真実が一つある。

ロボットを自由に動かすのは、人間の原始的欲望なのだ。

これはフロイトも言っているから間違いない(過言)。

正直に言って、ロボットを自由に動かせることが嫌いな人、います?

いねえよなあ!(例の画像)

 

ACにおいてはそれだけではない。

沢山のパーツから、自分だけの機体を作れるのだ。

性能で選ぶか、見た目で選ぶか。

見た目もエース機体っぽくするか、量産型にするか、作業重機っぽくするか。

戦術に合わせて武器も機体も選ばないといけない。

武器に合わせて戦術や機体を組み立ててもいい。

敵を倒している時間が長いのか、ACを組み立てる時間が長いか。

この試行錯誤もまた、ACの楽しみの一つなのだ。

ちなみに自分は好んで軽量二脚「NACHTREIHER/42E」を好んで使っていた。

ジャガーノート辺りから使い始め、結局3週目も愛用していました。

これにレーザーハンドガンとか積むと、いい感じに強いんですよね。

魅力的なキャラクターたち

ACにはキャラクターの立ち絵はない。ただ、声と機体、そして戦い様があるだけだ。

だからだろうか、主人公の周りには魅力的なキャラクターが多い。

雇い主のウォルター。

途中から聞こえる幻覚ルビコニアンのエア

ハートマン軍曹のミシガン。

唯一無二の戦友、ラスティ。

そのほか敵にも味方にも、様々なキャラクターたちが入り乱れる。

その多くは戦うことになるけれど、戦うことで彼らの深くを知っていくことになるだろう。

そんな侘しさも、戦場ならではこそ。

これもまた、ACの喜びである。

素敵だ……ご友人♡

人間は戦いの形をしているのか

この言葉は、おそらく今回のキーワードの一つ。

コーラルと人類。二つの共生と抑圧と闘争。

闘争自体がアーマードコアシリーズのテーマであり、今回はここに異種族を混ぜ込む形にしたのだろうか。

闘争が人類進化の鍵、というのはありふれた言説だが今回はこれを逆説的にとらえている。

人間という種族が闘争に適した形になっている。

闘争に適した形になるように進化しているというパラドックスだ。

ならば、この超テクノロジーの世界でなぜACが重用されているのかもうなずける。

何よりACという形で、自分たちは様々な可能性を模索していた。

アセンブル、戦術という形で。

その拡張性こそが人間であり、それこそが闘争に適している理由なのかもしれない。

火を点けろ

だが、正直そんなことはどうでもいいんだ、駄犬

試行錯誤し、無残に倒され、けれど諦めずに戦い続ける喜び。

それらを全身で余すことなく楽しみ、感じ取れる、素晴らしいゲームなのだ。

これはもはや経験だ。

ここたま!(ここが私の魂の場所という意味)」

と思わず叫んでしまう。

発売から一ヶ月。

3週クリアしたけれど私の魂はまだルビコン3にある。

静かで透明で、純粋な闘争だけがある世界。

繰り返し可能性を試し続けること。

ゲームの原体験を味あわせてくれる、素晴らしいゲームだった。