もるげん3分前

もるげんれえてとそのサークル「Horizont」のスペース。宣伝の他に呼んだ本や映画の感想、最近のこととかを書いていきます。pixiv→http://www.pixiv.net/member.php?id=270447、ツイッター→https://twitter.com/morghenrate

2020下半期映画感想一纏め ~ジョゼと小黒と鬼滅たち1984~

すっかり気付けば年の瀬。

光陰は矢の如く、月日は駆ける師の如く。

コロナのせいで何もできず、何か新しいことを始めたりした2020も残すところあと2日。

そんなもるげんは今日から当直です。

年明けまでずっと病院で過ごす予定です。

やることもないし、どうせ家でゴロゴロするなら病院で稼ぎながらゴロゴロしようかなと思ったわけです。

……まあ、キャンプ道具を買いすぎて金欠っていうのもあるんですけどね(

 

コロナの影響といえば、映画もその多分に漏れずに影響を受けていました。

一時はどうなるかと思いましたが、鬼滅の影響もあって何とかかんとかやっているみたいですね。

自分も後半は色々見るようにしていました。

そこまで多くは観れませんでしたが、興味ある映画は大体観ることができたので満足。

そんな今日は、今年後半で見た映画を色々とさっくりまとめていきたいと思います。

 

 

劇場版鬼滅の刃無限列車編

さて、今年最大のヒットどころか、とうとう邦画史上最高売り上げを誇る映画となった、鬼滅の刃

社会現象になる鬼滅は臨床の現場でも避けては通れません。

自分はTVアニメ版から入って映画の前に全巻読破した人間です。

話の流れはわかっていたのですが、やはりさすがの出来。

ただ映像化するのではなく、それ以上の深みを持たせてくる描写力。

もともとの漫画があっさりと描いているのもあるのですが、ufoの映像化は漫画の行間を非常にいい意味で埋めてきます。だから、見ていて違和感なく、予想通りでありながら予想外の展開に胸が躍るのです。

深い行間への理解は、頭では分かっていた煉獄さんの死を、炭治郎の慟哭と共に完全に見ている人の心の中へ溶け込ませていくのです。

前回書いたこちらの記事(ベディヴィエールは何処へ征くのか ~映画FGO キャメロット感想~ - もるげん3分前)では、ある媒体を別媒体へ変化させるとき、削ったり追加したりしなくてはならないのです。もともとの媒体の得意なものを別の媒体でも特異であるとは決して同じではない。

鬼滅は漫画こそ戦闘は苦手であるものの、それをアニメ化した際には逆に戦闘を掘り下げていき、漫画のあっさりとテンポ良い展開をしっかりと腰を落ち着けて描くことで雰囲気を活かしつつ、まさに「アニメの鬼滅の刃」に昇華させているのです。

アニメ化の極致の一つ。コロナの情勢とも相まって、多くの人の心をつかんだ映画でした。

 

鬼滅そのものについてですが、奈須きのこ先生も大絶賛していましたが、自分もすごい好きというわけではないものの「こりゃ手堅い漫画だ」と思ってます。

そのうち、また語ってみたいと思います。

 

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来

中国製アニメ映画というわけで、非常に興味があった作品の一つ。

事前の評判も良好でさて、どんなものかなと見てみました。

正直言いまして、「今年一番、見てよかった映画」です。

もしこの映画を見逃していたらすごく公開したなと、そういう映画です。

シナリオ自体はシンプル。はぐれ妖精の主人公が妖精過激派と人間側とを学んでどう生きていくか、というもの。自然をテーマにしているところが中国という文化土壌にさらにきつく根ざしているのがいいですね。

展開は序盤こそややテンポが速いのですが、全体で見れば全く気にならず、自然自然と見入ってしまうのです。

なにより、この映画のすごいところはひとえに「アニメーション」。

戦闘シーンやコミカルなシーン、ちょっとした日常シーンのしぐさのどれもが日本人である自分の心にしっくりくるんですよ。

はっきり言えば、「これ、あのアニメのあのシーンに似てる」「どっかで見たことある表現だなあ」と、懐かしさすら覚える演出がたくさんあるんです。

悪く言えば、日本から吸収した映像技法を自分たちのものにして昇華した映像群なんですよこれ。

逆に、果たして日本のアニメーションの中で、この映画レベルのアニメを作れるところがいくつあるのだろうか。

パクったとかなどとは思いません。技術なんてものはちゃんと守らないと流出するのが常です。外注していたのならなおさら。

この映画は中の上、ジブリのレベルまでは行きませんが、しかし伸びしろが大きい映画です。今後の中国アニメ映画の発展が楽しみです。

けれど、果たして日本のアニメは生き残れるのだろうか。僕たちはこのアニメと戦えるのかなあと一抹の不安を、鑑賞後に抱きました。

 

ジョゼと虎と魚たち

さて、そんなことを宣いながら、一方で日本映画も黙ってはいません。

あまり大きな話題になっていませんが、個人的に今年の映画の中でトップクラスの良作映画が、この映画です。

原作ありのアニメーション映画ですので、シナリオ面についてはあまり語りません。

構成は非常によくまとまってます。気付けばハラハラしながら見ていました。

基本軸は恋愛でありながら、夢と現実、健常と障害のテーマをうまく映像としてまとめ上げています。

製作はボンズなので安定しつつ、心理描写や表情も生き生きとしています。ジョゼがくっそ可愛い。大阪弁かわいい。

瞳の動きや背景の美しさ、最後の紙芝居などはやはり映像でこそ映えますね。

お話の内容自体も分かりやすく、一般の方々にもお勧めしやすいのもグッド。

高いレベルで丁寧に作られた、素晴らしい映画でした。

個人的にこの映画のシーンでジョゼが「健常者のくせに」と吐き捨てるシーンやマイの「私はいい女だから」というシーンが好きですね。

……マイは、女性受けはあまり良さそうではないなあ、と思いながら。

夢に手を伸ばすことが怖くなった。そんな歳になって響いたもののあるとてもいい映画でした。

ちなみに、私はちっこくて車椅子で大阪弁で口の悪い素直になれない女がタイプです。

 

ワンダーウーマン1984

さて、洋画の中では今年一番の期待作。前回も神作でしたが、今回もその期待を裏切らない出来です。

この映画、前回からの続きでありかつ前回の話を分かっていないと置いてけぼりになってしまうので、ぜひ前作を観てから臨んでほしいです。

それを差し引いても、実にいい映画でした。

アクションシーンもさることながら、この映画のテーマ、「欲望と願い」について実に丁寧に作られています。

DC系は結構社会派というか、風刺的だったりテーマ性が強かったりしますが今回も説教がましくなく、しかしながらしっかりと問われています。

今回のヴィランが周りの人の願いをかなえる代わりにその代償を貰うという、いわゆるランプの精の問いかけに対する「そういう答えしちゃうかあ!」的なヴィランです。

ただ、どこまで行っても小物というか、俗人的。ともすればそこに立っていたのは自分ではないかと勘違いしてしまうようなリアリティなのです。

結局この敵を倒すのは、世界中の人々が自らの願いを諦めることで達成されるのです。決して、ワンダーウーマンが倒すのではなく一人一人の願いによって、打ち倒されるのです。

それはまるで、誰しもが世界平和を願いながら達成できない矛盾であり、同時に世界平和を為すには一人一人の願いが必要であるということのようであり。

ここ最近のヒーロー映画は、ヒーローと民衆、ヒーローと社会といった対比が目立ちます。ヒーローは社会にとって必要なのか。ヒーローによって悪が生まれるのではないか。ワンダーウーマンではこの問いに対して明確な、「ヒーローとは、皆の心の中にある」という単純でありながら困難な回答を提示したのです。

願いのために人は生きるのだが、真に必要なのは叶えることなのか。

心地よいテンポの中で繰り広げられるヒーロー活劇。今後の展開に目を離せません。

 

まとめ

さて、今年も色々見てきました。

で、今年見た映画の中でお勧め度ベスト3で順位付けしてみようかなあと。

ランキングは個人的な好みもですが、入りやすさや難しさで、映画初心者でも楽しめる映画でと考えてます。

自分が今年の映わ画をランキングしてみると、こんな感じです。

 

  1. ワンダーウーマン1984
  2. ジョゼと虎と魚たち
  3. TENET

 

HFについては、まあ、宗教上の理由と言いますか。決して万人にお勧めできるわけではないのですが物凄く好きなので別枠という形で。

ワンウーはやはりビックタイトルであることもあってお勧めしやすいですね。その点だけでジョゼがお勧めしにくいなあと。

TENETはピーキーさが目立ちますが、やはり最高にクリストファーノーランなのでランクインです。

 

今年の映画はこれで見納め。

来年もたくさんの映画が待っています。

どんな映画が見れるのか、楽しみです。